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遊戯考察|大人の趣味とは? (カードゲームの疑問)


第二章 「大人がやってもよい事とは何か?」

犬:2-6 大人像とオタク (正義の反対は、また別の正義だ――とはよく言ったもので。オタクの逆も別のオタクだと声を大にしたい) ------------------------------------------------------------- ○ TCGに影響する環境  「喫煙」の例にもあるように、「大人」としての価値観は近年、変化している。  TCGに近い「子供の遊び」に含まれていたコンピューターゲーム(以降、CPUゲームと記述する:遺憾ながら、ソーシャルゲームも含む)は徐々に「大人が行ってもよいもの」として定着してきている。  これの主な理由としては「CPUゲームで遊んで育った」世代が大人になったことや、ゲームの質が向上したことが挙げられる。ゲーム機自体の小型化によって手軽に行えるようになったことも理由の1つであろう。  とはいえ、未だに「大人が行う事として相応しい」とは言い難い現状もある。電車内で読書をするサラリーマンは見かけても、電車内でポータブルCPUゲームをするサラリーマンはあまり見ない。見たとしても周囲に快くは思われない。つまり、電車内でCPUゲームを行うということに「恥ずかしさ」が残っているということである。  同じように「子供の文化」であった「漫画」はCPUゲームよりも社会に適応していると言える。成人以上を対象とした漫画といえば18禁のものなどが大半であった昔とは違い、ストーリーに凝った、子供では読解が難しい高度な内容の漫画が多数存在している。  現在、漫画やアニメ、CPUゲームなどを製作する側の人はそれを職業として生計を立てることが可能となった。それらの製作技術を教える専門学校も増加し、製作に直接関らない人の生計も成り立つようになっている。  では、漫画やアニメを読むだけの人はどうであろうか? それを読むだけでは生計が成り立つはずもない。ただし、製品を評論・評価することで生計を立てている場合はある。  スポーツの一流プレイヤーは「生産された製品」を用いる「消費者」であることには変わりないが、その製品を用いて「競技をする」ことで生計を立てる。画家が購入した絵筆で絵を描き、それを売って生計を立てることと同じである。  実際には、「試合」そのもので得る収入より、「競技」によって得た名声などを利用してスポンサーからの収入や広告料で生計を立てる場合が多い。ボクシングで世界タイトルマッチ防衛線などを頻繁に行えば試合の収入(ファイトマネー)だけでも充分に生計は立てられるが、そういった例は「人気がある、競技人口が多いスポーツ」に限られる。 ------------------------------------------------------------- ○ 大人像とオタク  「大人像」を現代の日本で考える上で、「オタク文化」に触れなければならない。  アニメや漫画、ゲームを中心として展開される「オタク文化」の内容は、そのほとんどが本来<項目2>に属しているものである。つまり、世間的に「オタク」が非難されたり差別される理由は「大人が行ってもよい行為」ではない行動や行為を行っているからである。  しかし、ここまで述べたように「大人が行ってもよい行為」は変化しつつあり、かつては完全に否定されていた「漫画を読む大人」は現在、否定される度合いが大きく減少している。これは「漫画を読んで育った世代」が大人になったという「CPUゲーム世代」と同じ年代背景、「質の向上」といった変化が主な要因である。  「CPUゲーム」も主には「オタク文化」であるが、先に述べたように今では社会的認知度が上がってきている。  「世代が育った」ことが意味するのは「該当する人間が増加した」ということである。漫画やCPUを知らずに育った世代は次第に減少し、漫画やCPUに囲まれて育った世代が今、この瞬間も成長している。  ここで「オタク文化の今後」について軽く触れると、あまり明るいとは言えないだろうと予想される。仮に、一層飛躍したとしても、それが「大人にも相応しい文化」として根付くのは少なくとも半世紀後だと考えられる。  理由としては「現状、CPUや漫画をよく知らない世代の割合がまだ多い」・「全ての国民がCPUや漫画に囲まれる世代に移行したとして、それらの文化がその時点で旺盛であり、また、それらの文化を好む人間が過半数を占めるとは限らない」からである。  多数決は絶対ではないが、「集団性が強い」という日本人の気質から、多数決は強い効力を持っている。「オタク=気持ち悪い人」という認識が少数派となる日が来るのか、それは現時点では望み薄であり、少なくとも4、5年で完全に変化するものではない(僅かな兆しはあるようだが……それも、“アクティブなオタク”に限る)。 第二章 「大人がやってもよい事とは何か?」 結
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