犬:将棋やチェスはもう何百年も人々に親しまれているテーブルゲームである。
競技人口は多く、世界中に競技者が存在する。
完成されたルールの中で多くの名プレイヤーが生まれ、歴史が積み重ねられている。
だが、競技として成り立つ、それの“プロ”が存在できる完成度にある新鋭のテーブルゲームは少ない。
トレーディングカードゲーム(以降、本項では「TCG」と表記する)で稼ぐ“プロ”も存在すると言うのに(プレイングのみの生計ではない)……役所に提出する紙に「職業:プロカードゲームプレイヤー」と、なぜ公然と書けないのか? 同じテーブルゲームなのに、同じ競技として成り立つものであるのに……なぜ、区別が生まれるのか? 面接や社交辞令で「趣味は将棋です」と言えて、なぜ「趣味はカードゲームです」と言えないのだろう。
「大人が行うものではない」「ゲームの性質的に駄目」
そのような簡単な答えでは回答として不十分である。「感覚的に解る」などという結論では終結に至らない。「なんとなく」で上の理由を解釈しているだけでは“納得”がいかない。
駄目なことは解る。しかし、それがどうして“駄目”なのかを具体的に検証したい。また、それが明確になったのならば、どうすれば問題を改善し、TCGの発展が望めるのかを考察したい。
……と、これまでを考察した結果。「大人」と「子供」の境界が、広大尊大な様で私の前に現れた。
それは「趣向」―――つまりは「趣味」の壁に直面するに至ったことを意味している……。
「趣味の壁ってなんなん?」「大人と子供なんて生育の差だろが」「で、結局TCGはどうした」
―――それらの疑問壁はこの後に進むことで瓦解し、その先に私が見た『真の壁』を見ることになるだろう。
それでは。
以下、本研究の経過と結論を記載することとする。