第三章 「改善策の提示(最終章)」
犬:ここまで検証したことを踏まえて、「TCGの社会的な立場」を確保する手段を考察して、それらを大きく2つの傾向に策を分け、提示する。
犬:まずは『@個別にTCGの人気・認知度を高め、普及させる手段』から。
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@個別にTCGの人気・認知度を高め、普及させる手段
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<手段1>
「キャラクターTCG」として製作(他のキャラクターや作品とタイアップする)し、且つ競技性を確かなものとする。
◇問題点
問題1:タイアップ元に好意を抱く人以外にプレイさせ難い。
問題2:タイアップ元が人気を失うと、連動して人気が失われる可能性が高い。
「問題1」を解決するには、競技性を高め、「ゲームそのもの」に興味を持ってもらうことが一番理想的な解決策となる。もしくはタイアップ元と連動して双方の宣伝を行う。
「問題2」を解決するには、やはり「ゲームそのもの」の質を高め、タイアップ元の存在を忘れる程の製品に仕上げる必要がある。
以上のように<手段1>を提示したが、その解決策にも問題がある。
「問題1」の欠点は「問題2」の事態に陥ると同時にその解決手段が全て無効となることである。そもそも「問題2」の解決手段が「キャラクターTCG」を販売する意味を失いかねないものであり、それならば元から「競技系TCG」を製作したほうがよい。
「問題2」の解決策を用いた場合、「キャラクターTCG」である利点は「初期の宣伝力向上」くらいとなる。
これらの解決として「多作品とタイアップする」という手段がある。これならタイアップした全ての作品のファンを取り込む見込みがあり、また、タイアップした全ての作品が没落するには時間が掛かる。
これの問題点は「キャラクター」ものだという認識が一層高まってしまうところにある。「他作品とのタイアップ」が主な売り口上となるので、同系統のジャンルからいくつも選択しては意味が無い。できるだけ多種に渡るジャンルの作品を用いなければ、「キャラクターTCG」ではなく、「特定のジャンルTCG」というさらに部外者が参入し難いTCGが出来上がってしまう。
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<手段2>
「TCG」ではあるが「既存のTCGとは違います」「強い競技性」と大きく宣伝する。
*注意することは、この時「キャラクターものではないこと」「真剣勝負の舞台として相応しい競技であること」を前面に出した宣伝を行うことである。
◇疑問:
上記の宣伝文句に相応しいゲームシステムとは何か。
◇回答案:
まず、「運」の要素を減少させる。テーブルゲームは「将棋」を代表するように、対戦相手との「読み合い」は生じても、「運」を完全排除したシステムの製作が可能である。
カードゲームでもこれは可能であるが、「TCG」となると完全な「運」の排除は不可能と思われる。だが、「運の要素」を可能な限り取り除くことはできる。例えば「山札が存在せず、全て手札であるTCG」ならば山札から何を引くか解からないという「戦力の不透明さ」が皆無となる。また、これによって生じる「運の要素」はデッキによる相性の発生と考えられるが、これは「デッキ製作から勝負は始まっている」として割り切るしかない。
第一章で検証したが、これだと「試合前の戦い」が存在してしまうことになるが、スポーツも「練習の成果」が重要な要素を占めており、スポーツ(個人競技限定)における戦力とは即ち「自らの肉体」である。いっそ開き直って「勝負は試合前から始まっている……」などと煽るのも良い手段であろう。
また、TCGには「サイドデッキ(予備のカード)」というシステムも存在する。TCGの公式な試合は主に2本先取で行われ(*競技系TCGであるMTGを参考)、1ゲームが終了するたびにサイドデッキのカードとデッキのカードを入れ替える“調整”が可能とされる。「サイドデッキの量を増やす」などの対策を施す事で、「試合前に勝負が決まっている」という事態を軽減することができる。
◇回答案の問題点:
「運の要素が濃い」ことがTCGの特徴の1つでもあるため、それを好むプレイヤーも存在する。「キャラクターTCG」として製作しない場合、初期は他のTCG経験者を購入層の中心として定めることになるが、そこで「運の要素」が少ないことで不満を買う可能性が高い。要は「やりすぎるな」ということであろう。
適度な「運要素」。これが無ければドラマが生まれず、また、可能性を見いだしにくい初心者が入ってこれない。
「何故、宝くじは売れるのか」を考えれば解りやすい。
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<手段3>
独自のシステムを採用する。または、他のテーブルゲームの要素を追加する。
◇問題点↓
<手段2>と同じように、既存のTCGプレイヤーに好感を持たれるかは不明。だが、TCGと他のボードゲームとの融和性は上々(プレイシートをボードに変更するだけでもゲームの印象は激変する)で、その類のテーブルゲームも既に多数存在する。「TCG+ボードゲーム」の組み合わせによる可能性を模索するだけでも、相当数の新規ゲームシステムは製作できる。
ただし、既存のゲームの寄せ集めとなることは危険である。
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<手段4>
販売場所を変える。宣伝文句やCMを幾ら流しても、玩具屋で販売していたのでは説得力が無い。販売する場所を変更することで、強制的な購入層の変更を試みる。
◇疑問:
販売場所を変えただけでTCGに興味を持っていない大人が購入するだろうか。
◇回答案:
パッケージや値段設定を変える。また、カードの材質自体も変更する。これらの処置で「高級感」を出す。
◇回答案の問題点:
パッケージの変更やカード材質の変更が「劣化」であってはいけない。つまり、より「元手がかかる」製品となる。また、販売場所によってはそれを「子供」が買うことが困難になる。
――次項にて「@TCG全体の風潮を変更する手段(変更するべき点)」を提示する。
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