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鋭利なる咆哮――メタロガイスト

$四聖獣$ SCENE/0・A  ――東京都、某所。  AM10:00/地下120階、大講堂。  地上を行く人々の様は落ち着きを見せている。誰もが今日という日を在り来りなものとして享受しているのだろう。  その在り来りが何によって保たれているか、日常という複雑なプログラムを演算し、実行するものは何か。地上を行き交う在り来りな人々は計り知らず、知ることは許されない。  万事が万人、全ての望みを汲み取るようでは国家など成り立たない。国家とは無数の個人を集めた人間集団の巨魁であり、それは個々の個性を妥協させた結果でもある。「自由」という概念は、国家にあってなんとも矛盾したものであり、押し通せば必ず無理を生じるものだと覚悟しておく必要があるだろう。  つまり、「国家」なるものは無数の人間を妥協させ、細胞として組み込んだ「巨大な人」と表せる。  この考えをもってすれば、世界などは所詮、数百の巨人による学級教室でしかないと言い表せる。  ――無理を出来うる限り抑制するために不可欠なこと。それは頭を確固として定め、手足の数を限定することである。  人間を例として見ても、頭は一つ、腕は二本、脚は二本……臓腑の数にも定まりが存在している。無数の頭部を持ち、無数の手足を備えた存在は、妖怪変化とでも呼ばれて然り。到底として秩序の中では蠢けない。  大半の国において当たり前に政治は存在し、最低限権力者は出現する。そうでなければ人間の集団など、機械の集まりと相違無い有様となるだろう。  東京都某所。地下鉄の網目よりもさらに深く。  有象無象の雨水は地表へと降り注ぎ、積み重なった地層を滴ることで雫は厳選され、限りある純水として染み入ってゆく。  雨水における濾過の過程を経ると同じく。地下深くに存在する大講堂には、有象無象の人から厳選されたごく僅かな者しか入室を許されない。  良く言えばすっきりとした、悪く言えば殺風景な――余計な物を一切省いた“大講堂”の壁面は108度の角度で折れ曲がり、床と天井に微塵の歪もない五角形を作り出している。  例えば東京都の某所、大講堂の地表で水爆実験を行ったとして……それはつまり日本国のシンボルが失われる事態ではあるが、ともかくそうなった場合。大講堂内部の人間は物音一つ感じられず、極々自然なままでのんびりとコーヒーの香りを楽しんでいられるだろう。通信による連絡が無ければ例え核ミサイルを10発打ち込まれても地上の変化に気がつけない。  それほどにまでに。安全すぎる程安全な地下大講堂。  しかし、この安全性は内部の人を気遣ってではない。何よりも、ここで離される“情報”を護る為の配慮である。  第一として。ここに集まるような厳選された人間には、他者の保護など不必要。むしろ、“ここに集うべき5人”に関しては、講堂外部を保護していると捉えても間違いとは言い切れない……。  徹底的な配慮を施された講堂の内部。五角の部屋にある“五つの頂点を持つ星型の大机”。これを前にして、老齢ながら背筋の伸びた、渋面な男性が冷や汗を流していた。  【古祝儀 意次(コシュウギオキツグ)】という名の彼は襟元をしきりに正しながらこれまた頻繁に額の汗をハンケチで拭っている。  腕時計との格闘戦。最高品質のクォーツをコンコンと指でノックして、時間を急かす。無駄な行為だが、老齢の古祝儀が感じている「早く、早く」という思いが自然とこの儀式を執り行わせているのであろう。  静寂の講堂。星型の机に座す5人の男と、傍らに立つ老人。老齢の古祝儀意次が焦って叩く腕時計から、「コンコン」という音だけが微かに響いていた。  講堂にある大きな星型の机は、真ん中がポッカリと空いており、星型の5頂点に座す人はここを注視できるような作りになっている。  意次が立つ位置は机にある一つの頂点、その傍ら。そこに座るは、真白き衣を纏った肌の白い男性。  着物も白く、頭髪も白い。僅かに影が宿す黒のみが濃紺であり、さながらまるで彼のみ色を失っているかのような……不自然なまでの白黒な存在がそこにある。目を閉じたその表情からして、見る者は静止した絵画の有様を彼に見出すであろう。  真白き人は気迫の薄い、極度の静けさを滲ませていた。身体の線は細く、一見してか弱さを感じられる。しかし、すぐ傍に立つ老齢の意次が頻繁に汗を拭っているのは主にこの真白き人が原因なのである。  目をつむったまま。真白き人は口を開いた。 「……意次よ」  端的な発言である。講堂にぼそりと、呟くような声。  別段恐ろしいことはない。単に名前を読んだだけである。――が、しかし。意次は喉を「ゴクリ」と鳴らし、彼の体内に流れる血流は危機に備えて脳への血流負荷を増加させた。 「はい、青山様!」  意次は真白な男に視線を移し、出来うる限りに隙のない、丁寧な姿勢を心がけた。  真白き人は目を閉じたまま、口元以外を微塵も動かさずに言葉を続ける。 「私の記憶によると、定刻は巳の刻だったのだが……間違ったかな?」  意次が“青山”と呼んだ男性は、「首を傾げる」という動きを行った。変わらず目は閉じられているが、少しおどけて見せているようにも思われる。  真意は定かではないものの。多少、この“青山”という男性がおどけたところで意次の緊張は変わらない。 「間違いは御座いません。間もなく、本日の議会は開始されます」  意次は腕時計のガラスを指で擦った。「だよな!」と、祈るような気持ちなのであろう。 「間もなく? ……開始の時刻、なのに?」  真白き人は反対側に首を傾ける。彼の言っていることは確かだ。取り決められた開始の時刻になっても始まらないというのならば、それは参加者の認識を根底から小馬鹿にすることである。 彼は、そのことが納得できないようだ。 「も、申し訳御座いません。貴重な御時間を裂いていただいたところをこのような――」 「意次よ。あなたが謝罪しても仕方がない。謝罪するということは、何らかの落ち度があなたにある……ということになりますからね。また、そうであるならば早急に伝達の不備を報せている必要があった……ですね?」  目を閉じたまま、顔を右横に向ける真白き男性。 「いえいえ、滅相もございません! 手前に不備はありません」  開かない眼で睨まれた意次は、蒼白した顔面を機敏な速度で左右に振った。真白き人は瞳を閉じたまま、口元を微笑ませた。  この様子を伺って、別にある星型の頂点から声が割り込んだ。 「青山の! それを言うならば、古祝儀氏直系の上役である貴殿にこそ不手際があったと考えるべきであろう!!」  威勢の良い発声。ざらざらと年季の入ったメリハリのある言葉は、別の頂点に座る全身忍び装束の男が発したものらしい。忍び装束は頭巾から足袋まで、揃いのミリタリー迷彩柄に染められている。 「ふぅ……桐島様、お声が大きいですよ」 「そもそも!! 此度の集会は照蛇会が舵を切ったと聞く。ならば古祝儀殿に責を問うても、それは不足! この不手際、やはり貴殿にこそ弁解をしていただきたい所存!!!」  忍び装束の男は肘を机に乗せ、身を乗り出して声を荒げている。・・・ただ、彼の威勢良い発声は目元以外を覆った厚手の頭巾によって若干くぐもってしまい、所々聞き取り難い。 「繰り返し、お静かに……間もなく議会が開始されます」  真白き人は人差し指を唇に押し当て、ハンドサインでも静粛を求めた。 「大っ体! そもそもわしはあのような成り上がりをここに呼ぶことから納得がいかぬ!! のう、皆の衆!!」  忍び装束の男は周囲に腕を振り、他の3人に同意を求めた。  対して。同席する他の3名は、微妙に顔を逸らしている。 「さすが、隠密の道を極められている方は目の付け所が違う……。細かなことにもよくよく目ざとい姿に、感服するばかりです」  目を閉じたまま、真白な男は影の少ない表情を微笑ませている。  言葉を遮られたこともうそうだが――何より露骨な微笑みを見せられたことに対して、忍び装束の男は憤慨した。 「先にごちゃごちゃ言い始めたのは貴殿である!!」  遂に立ち上がって怒鳴る忍び装束の男。これに対して、真白な男は微笑んだままに言葉を返す。 「もう一つ。照蛇会にまで話を及ばす必要性には疑問を感じますが……それでも追求すると言うならば、風間様にも詰問されるべきでしょう――違いますか?」  目を閉じたまま、真白き人は揃えた手先を左の方へと差し向けた。  差し向けられた先には、メガネを掛けた顎鬚の紳士が黙している。彼は他の誰にも聞こえないような音量で「俺が知るかよ」と零した。 「風間には関係無い!」  忍び装束の男は毅然として首を振った。 「あわわ、み、皆様、どうかお気を鎮めてくださいませ。間もなく、間もなく開始となりますので――」  意次の懸命な声が大講堂に木霊する。真白き人はこれに乗じて口を閉じ、忍び装束の男は変わらず不満を響かせる。  星に座す他の3名は手元のモニターを弄ったり/寝たり/眺めたりと……我関せずの姿勢を一貫した。 < 遅れて申し訳ない、皆様方―― >  大講堂に、これまで無かった音域が響いた。  講堂天井の一部。人が3、4人は乗れる程度の大きさである五角形が、天井の中央からゆっくりと降りてくる。  何の支えも無く、エレベーターの如き様で降りてくる五角形。それは不思議な存在である。  それは魔法でも奇術でもない。紛れもなく、科学の力で成された、最新鋭の昇降機。  大講堂の中央。星型の大机にある、空いた空間。五角形の昇降機はここへと降りた。接地は実にスムーズで、これに“乗っている”人は大した揺れも感じてはいない。  昇降機に乗って講堂へと入室してきたのは“紫色のスーツを着た白髪の老人”。  老人とは言え顔つきは精悍で。目元の力強さは年齢を微塵も感じさせない。  星の中央。“ここに集うべき5人”の視線は全て一人の老人へと向けられた。 「規定時刻の遅延、誠に申し訳ない。――早速、議会を始めさせていただきたいのだが……よろしいでしょうか」  精悍な老人は堂々たる様で周囲の五人を見渡す。  この日、東京都の某所にて……深月グループ総帥による“次世代エネルギーに関する議会”が執り行われた。  多くの人は決して知り得ないであろう。  例えそれが、自分達の日常を変貌させるものであったとしても――――。 SCENE/1 ACT-1  東京都某所。昼夜問わず盛んな街は、一年中欠かさず膨大なエネルギーを消費している――。  晩夏。しかし、それでも日差しは加減を知らず、日中ともなればクーラーですら力負けしてしまうような時期。  贅沢な都会の最中。地域高規格道路沿いに並んだ街並みに、場違いな存在がある。  それは木造二階建ての一軒家。建てられてから相当な年月が経過したのだろう。外観には“オンボロ”という印象が相応しい。  一軒家の一階。この木造家屋は左右を背の高いビルディングに挟まれているので、日差しが入りにくい。だからリビングは常に薄暗く、なんとも目に悪そうな雰囲気である。  そこに青年が一人。名前を【青龍】という彼は、恐ろしい険相かつ、萎れた様子で外出の支度をしていた。  時折「咳」が絡む。咳き込む度に彼の青い頭髪は揺らぎ、弱々しい背中が丸くなる。  青龍は先日まで高熱を出していた。それがようやくに体調の改善を見せてきたので、ウィルス共の止めとして医者様に見てもらおうというのである。家で大人しくしているのもいいが、どの道薬が尽きたので都合は良い。 「エホンっ、エホホン!」  むせるのどを押さえて、青龍はリビングを見渡した。 「……誰もいないのか?」  不安そうな声を零す。一応、念の為に病院まで付き添ってもらおうかと考えていたのだが……どうにも他の同居人は留守らしい。  病院までは徒歩で10分ほど。できれば車で送ってもらいたかったが、唯一運転できる男もいないらしいので仕方がない。  買い物にでも行ったのかと思い、青龍は少し心細い気持ちで玄関の扉を開いた。 「おっ、どこいくん!?」  開いた玄関の先に立つ、背の高い影。逆光を浴びた金色の髪が夏風に揺らいでいる。  扉を開いた青龍を見下ろすのは、【アーティ】という名の人。彼は女のような顔立ちをしているが、外見に騙されてはいけない。 「……アーティか」 「ねぇ、どこいくん??」  アーティはニヤニヤした。瞳はランランと輝き、期待感に満ちている。  彼は思っていた。「ゲーム屋行くの?」――と。  青龍はその心を理解したのだが、自分の行き先は違う。病院だ。 「……一緒に来てくれるか? “ 病院 ”に」  背に腹は代えられない。青龍はこの背の高い同居人に付き添いを頼もうとしている。 「えー、病院ん??」  露骨な拒否表情。微塵も気遣いの心が見られない。 「ファイブミニ買ってあげるから」  フェイブミニというのは健康飲料の一種で、手軽な容量に独特の味を持つ炭酸ドリンクが入った商品である。コンビニなどでも買えるが、薬局にも置いてあることが多い。 「うん? う~ん・・・」  しかし、アーティは頷かない。間違いなく心は揺れ動いたが、まだ足りない。 「……わかったよ。寄るよ、帰りに」 「ゲーム屋!?」 「そう、おもちゃ屋」 「一緒に行く! ちょっと待ってて!」  アーティの表情は一気に晴れ渡った。彼はウキウキ気分で「忘れ物を取ってくる!」と言い残して家屋の地下室へと駆けていく。  忘れたというのは『ブレスレット』であり、それの形状は――なんかよく、変身ヒーローが装着しているような感じのものだ。  青龍は言った。確かに、「ゲーム屋(おもちゃ屋)に寄る」と宣言した。  だが、しかし。「おもちゃを買ってやる」とは一言も言っていない――。  若干の罪悪感を覚えながら……青龍は胸中で「すまぬ、すまぬ」と事前に謝罪した――――。 ACT-2  青木内科医院は開業から30年経過した、地域によく根付いた病院である。  古びた木造家屋から徒歩10分ほど。裏通りの近道をくねくねと辿ることで到着できる。立地としては、駅と繁華街からそこそこ近い古くからある住宅地の只中。地価が割かし豪華なので、元からの居住者でも敷地の賃貸などによって儲けている人が多い。  上記のような土地柄故に、病院をおとずれる客層はこの街が栄える以前から通っているような古参の老人が多い。そもそも昼過ぎの内科医院には老人が多いものだが……。  青木内科医院は常連の交流場と化している。飲み屋じゃないんだから――とも思うが、こういった老人同士の交流を助けることは介護、看護の理念に通ずる。立派な役割なのである。  ――昼間の老人会にぽつんとある青い頭髪。七十OVERの平均年齢を「グッ」と引き下げている青龍は、黙してただ番を待っていた。  最初にこの病院にかかった時は悪人面のせいで危うく『診断を受けに行ったらポリスに連行された』というアンニュイな事態になりかけた。  数回受診した今となっては看護師のおばさんも慣れたもの。「相変わらず顔色悪いわよ」などと言って食事療養のアドバイスをしてくれるほどの仲である。  待合室で静かに待つ青龍。本棚に置いてある漫画本を黙々と読んでいる。  漫画の神様に感銘を受けている青龍の横で、アーティは暇そうにしていた。置いてある本は幼稚すぎるか難解すぎるかの両極端で、彼好みのものが無いらしい。  待合室にある音声。  高齢者の方々が会話をしていたり、TVにワイドショーが流れていたり――。  素朴な環境音。  時折、青龍の咳き込む音がある。 「ちょっと、大変よ~」 「あら、どうしたの?」  受付の内側。看護師の二人が何やら首を傾げていた。  何気ないやり取りだが、「大変」という言葉を聞いた青龍が心配して顔を上げる。  看護師の二人は受付から離れて、診察室の方へと向かったらしい。音は遠くなったが、青龍はこれでも常人ではない。会話の内容は聞こえている。 「――ね、動かないのよ~」 「本当、どうしたのかしら」 「さっきまでは大丈夫だったのに……」  何が動かないのか。どうやらそれは、話の流れからして“血圧計”らしい。腕を筒の中に突っ込むとギュッと締まる、捉え用によっては卑猥な装置である。 (機械の故障か……)  青龍はチラリと「アーティ」の顔を脳裏に浮かべたが、修理に失敗して爆発でもしたら手に負えない。だから、申し訳ない気持ちで黙っていることにした。  そのアーティはというと、自作の「携帯通話機」を取り出して画面と睨めっこをしている。  青龍は慌ててそれを取り上げた。 「こ、こら! 病院内で携帯電話を弄る愚があるか……ウゴッホ!!」  たかでさえ恐ろしい形相が、咳き込むと同時にシワを眉間に寄せた凶顔となった。  ――が、アーティは動じない。青龍は起こっても“ぶたない”ことを知っているから、彼の怒りを舐めきっているのである。  だから平然と、反省の様子なく、事実を訴える。 「龍ちゃん。“画面が映んない”」 「……は?」  言われて見ると――確かに、携帯通話機の画面は真っ黒。 「あんれぇ、ちょっと看護婦さんー!」  待合室の老婆(梅子)が、声を張り上げた。元気である。 「テレビが映んねんだわー、直しとくれよ。せっかくミロさんがええこと言っとるのに……」  そう言って“バンバン”とTVの液晶を叩く老婆。「破られてはたまらん!」と、慌てた看護師が駆け寄って来た。  ・・・しかし昨今、液晶テレビの値下がりは止めどない。儲けているのなら、買い直すことも容易ではないか?  ――そんなことを言っている場合ではない。  真っ暗画面のTV。真っ暗画面の携帯。微動だにしない血圧計……。  青龍の耳に届く、“グガッシャァァアァン!!!”という、巨魁同士の激突音―――。 「!! ……今のは!?」  青龍が立ち上がる。 「ああっ、携帯返せ!」  アーティも立ち上がる。  尚も、青龍の耳には聞こえている。車の急ブレーキ、駅のアナウンス、人々の悲鳴。  方角は駅、繁華街。今、確実に――“ 何かが起きている ”!!  青龍は駆け出し――・・・駆け出そうとしたのだが。病院内なので静々と歩いた。 「あら、青山さん。受診はどうなさるの?」  看護師のおばさんがTVを気にしながらも聞いてきた。仕事のできる女である。 「すぐに戻りますっ!!」  青龍は鋭い視線で振り返ると、一礼してから病院の自動ドアを潜った。  草履を履き、一歩外に出れば――全力疾走。  青い疾風と化して小路を激走する一人の『侍』。 「わぁ、泥棒ぅっ! 携帯ドロボぅ!!!」  携帯を無意味に持ち逃げされたと思ったアーティは、頭から煙を沸き立たせながら青龍を追走した。  金色の長く、しなやかな髪が揺らいでいる―――――。 ACT-3 <キャー! キャー!> <おいっ、どうなってんだy……ひぃぃっ!!?> <兄者ー、兄者ー!> <信号消えてんじゃねぇk……う、うわああああ!?> <助けてー!!> <携帯が繋がんないよぉぉぉぉ!!> 『只今、構内の電力が全て停止しておりお客様には大変迷惑を―――』  阿鼻叫喚。駅前の繁華街に悲鳴が木霊している。  ここまで人々が狼狽する事態とは、果たして何か……?  周囲一帯の大まかな現状としては―― ・全ての信号機が明かりを失い、 ・道行く人々の携帯電話は機能を失い、 ・商店のレジは沈黙、 ・商社のパソコンはもれなく成仏・・・  原因として。竜巻が起きたワケでも、雷が落ちたワケでもなく、地震も一切発生していない。ただ、“電子機器が沈黙した”のである。範囲としては限定的だが、駅の周辺500mはすっぽりこの【非常事態】にみまわれている。  公道の指揮者を失った車たちは次々と交差点で激突し、命の次に大切な携帯電話が突然として故障したと思った人々は、この世の終わりかのように狼狽した。  ぶつかった車から運転手が次々と降りては言い争いを始める。 「0:10だ! 俺は停止していたからな!」 「いいや、信号はこっちが青だったね!」 「青ぉ?? 見ろ、黒だろう!!」 「黒って何事だ! ・・・ええいっ、らちがあかない! 警察呼ぶぞ――って、繋がらねぇぇぇ!!!」 「俺もだっ、どうしてくれる!!?」  錯乱した様子の運転手達。しかし、彼らは突如として言い争いを中断し、愛車を放棄することになる。  目の前で【切断される車】を目撃したならば、何よりもまず、命を最優先するのが通常であろう。  “それ”は、喧騒の交差点を悠々自適に闊歩している。  “それ”が左腕を振り上げると、信号機が【切断】されて倒れた。  カシャン、カシャン...と、鋼鉄の足音が鳴る。  “それ”の頭部は狼を模したもので、シルエットは人に近いが、明確に人間ではない。  暴走した車が一台、「し、信号が消えてる!?」という悲痛な叫びと共に駅前の交差点へと突入してきた。運転手は交差点に立つ人のような“シルエット”を確認したが、時すでに遅し――車は急には止まれない。 < <ガッシャァァアン!!> >  激しい鉄塊同士の激突―――片方は無残にもひしゃげた。  狼の頭部を持つ“それ”は、アスファルトに足先をめり込ませ、片腕を前に突き出した姿勢でひしゃげた車体を睨みつけている。 「俺は、強く、速く―――」  暴走者の運転手は、愛車を捨てて逃亡する。 「 何より――“鋭いッ”!!! 」  狼の頭部を持つ“それ”が左腕を振り下ろす。彼の左腕に装備されている「カギ爪」は、いとも容易く車両を両断した。  逃げ惑う人々。煙を上げる事故車の数々。  信号機の倒れた交差点の中央で、狼の頭部を持つ“鋼鉄の子”は吠え上げる。 「人間共が!! 思い知らせてやるぞ、【メタロン】の力を! その目に刻め、新時代の力をッ!!」  街に響き渡る咆哮。それは鋭利なる衝撃を放つ機人、“ガイスト”の遠吠えに他ならない。  隠されし次世代の動力――「メタロン」を搭載した鋼鉄の狼は、己の力を人間社会へと激しく誇示した。  炎上する車両。熱気で揺らぐアスファルトの景色。  そこに立ち、睨む青い影。  その凶眼は、遠吠えを轟かせている“ガイスト”へと向けられている。 「……キサマ、何をしている!」  駅前の交差点を前に立つ、一人の『侍』。青い頭髪が夏の日差しに照らされている。熱を帯びた事故車のせいか、周囲の気温は一層に高い。早急な処置をしなければ、更なる惨事を招くだろう。  ガイストは「ああ??」と、青い人間を睨み返した。 「なんだ、お前? 人間はさっさと逃げちまえよ」  左腕のカギ爪を突きつけるガイスト。 「それはこっちのセリフだ。お前こそ何者だ?」  一歩も引かず、変わらず睨み続ける『青龍』。 「なんでもいいだろ。死にたいのか? 死にたくないだろう? ほら、逃げろよ」 「死ぬことより……信念を護れないことの方が恐ろしい!」 「―――あン???」  ガイストは狼の首をかしげた。押し問答というか、話が通じてないというか、頑固というか……。 「仕方ねぇなぁ――軽くビビらせれば解かるか??」  左腕を上げて、ガイストはカギ爪を振り下ろした。空間毎引き裂く鋭利な波が青龍へと襲いかかる。  しかし、青龍は動かない。彼の足元にあるアスファルトが裂けたものの、一切動じない。 「鈍感なヤツだな――いや、まさか………?」  もう一度、ガイストがカギ爪を振り下ろす。再び放たれた鋭利な波が、青龍へと襲いかかった。  青龍は半歩横に動き、表情一つ変えず、寸前で鋭利な波を避けた。  「ゴホンッ」と、軽く咳払い。周囲に浮遊する塵芥が喉に引っかかっていがらっぽい。  ガイストは―――笑った。 「ヒャッハハハァ!! こいつはすげぇや! 人間にも“達人”ってのがいるとは知ってたものの――早速会えるとはなァ!」  カギ爪をゴム質な舌で舐め上げて、狼の頭部がニヤリと歪む。 「それでこそ、“メタロン”の驚異を見せ付けられるってもんだ。――何せ手応えがなくってなぁ―――退屈してたんだよぉッッッ!!!」  <ワオーンッ!!>と気高く吠え上げ、鋼鉄の足元から青白い火炎を噴き出す。  浮き上がったガイストは青龍へと一直線、ロケットのように突進した。  ――青龍の右腕が銀に変色していく。それは、彼の腕が鋼鉄をも引き裂く鋭利さを有したことを意味していた。  交錯するガイストと青龍。高速で過ぎ去るガイストに対して、青龍は身を屈めて右腕を振り抜いた。  青龍は腕を振り抜いた姿勢のまま、停止している。  一方、ガイストは……… 「――フッ、フフフ!」  “電流が迸る鋼鉄の右足”を見て――ガイストは、嬉しそうに「笑った」。 「やるな。お前みたいなのは人間に沢山いるのか? まぁいい。それはともかく………」  狼の頭部が牙をむき出し、鋼鉄の全身が青白く輝きを放つ。  人造の瞳孔が見開かれ、餓狼の裂けた口から蒸気が溢れる。 「 メタロンの力はッ―――、こんなもんじゃねぇぞぉぉぉおおおお!!!! 」  全身を発光させるガイスト。青白く輝く鋼鉄の身体から凄まじいエネルギーが溢れ出す。彼の胸中にある“スフィア”が、軋むほどに唸った。  停電被害は駅周囲500m程と前述したが……今は違う。ガイストの放つ強烈な電波は出力を増加させ、1kmを超える範囲の電子機器を麻痺させていた。 「強さ2倍っ! 速さ2倍っ! 切れ味2倍ィッッッ!! もう、俺は止まんねぇぜぇぇぇ!!!??」  ガイストがと雄叫びを轟かせる。  そして、その雄叫びに呼応するように・・・青龍もまた、「ゲッホゴホッ、うへオ!!」と大きく咳き込んだ。 「ぁア???」  首をかしげるガイスト。どうしたのかというと、視線の先にある「侍」が激しく咳き込みながら倒れたからだ。 「お、おのれ……ウゴッホ!!」  しゃべることもままならず、遂にうつ伏せで倒れる青龍。  完全に“ぶり返した”。病み上がりに全力疾走して、挙句声を張り上げて・・・何より、周囲の気温が半端じゃなく熱いことも原因だろう。 「うっぷ……うぐ……こ、来い……っ!」  フラフラと、吐き気を催しながらも立ち上がろうとしている。しかし、誰が見たってとてもではないが「戦う」状態ではない。むしろ、吐き気との戦いが既に始まっている。 「な、なんだよォ―――おいおい、人間って脆いなぁ!」  ガイストはため息混じりに叫んだ。期待を裏切られて不貞腐れているようにも見える。 「ちっ、じゃぁもう――どっか行けよ。そんなんじゃ無理だろ?」 「ヲっふ……いや、お、お前に……これ以―――オゴフっ!!?」 「やれやれ。拍子抜けだぜ」  勝手にドロップアウトした敵に対して、ガイストの興味は失せたらしい。青白い輝きは治まり、放たれる電波も弱まった。  鋼鉄の脚が着地する。“ガッシャン!”と、重厚な音がアスファルトに響いた―――。 「 龍ちゃん!! 」  それは、背後からの声。  ガイストが何気なく振り返ると、そこには『金色の長い髪の人』。  青龍を追ってきた『アーティ』は現状を把握できていない。しかし、明らかに弱々しい青龍の姿を見て、激昂した。 「龍ちゃんどうしたん!? お前がやったんか!?」  見知らぬ狼頭に指を突きつけるアーティ。 「あ゛? 知らねぇよ。――ったく、弱い人間だぜ」  人間一人が増えたところで鋼鉄の子は動じない。ガイストは適当に答えた。 「――龍ちゃんは、弱くねぇぞ!」  アーティの口調が変わる。少し、真剣な声。 「弱っちぃだろ、人間なんか。見ろ、あれを風邪っていうんか? しょぼいぜ!」  嘲笑い、カギ爪の先でうずくまる侍を指し示す狼頭。  アーティは唇を噛んで不機嫌な顔をした。彼は、“怒っている”。 「龍ちゃん馬鹿にすんなよ! お前みたいのは、僕がやっつけてやる!!  ―― 変 ッ 身 ッ ――!!」  「ああ?」と、ガイストが威嚇するように視線を移した時――その目に、強烈な光が差し込んだ。 「うっ!? ま、眩しいっ!!」  目が眩んだガイストには見えない。  今、彼の後ろに立っている人の変化が確認できない。  ピッチリとした緑色の特殊スーツで全身を包み、頭部は特製のヘルメットで保護。  長い金の髪をなびかせて、両手を横に掲げて構えるその姿―――。 「テクノロジー・グリーン参☆上!! 倒してやるぞ、狼怪人!」  名乗りを上げた彼は、テクノロジー・グリーンこと『アーティ=フロイス』である。 「な、何が起きた!!?」  閃光弾のような輝きをもろにくらったガイストは、半目でぼんやりとした緑色の影を見ている。  テクノロジー・グリーンこと『アーティ』は、猛然とダッシュした。 「テ・ク・ノ・ロ・ジィー――キィィック!!!」  彼は加速を活かして水平に跳び上がると、そのまま長いピッチリスーツの足を鋼鉄の身体に叩きつけた。  モゴォン! ――という、整備不良の鐘のような鈍い音が鳴り響く。  ガイストの鋼鉄の身体は、跳び蹴りの衝撃で1mほどズレた。 「か、硬い!?」  蹴ったは良いが。一切のフォローが利かず、アーティは地面に倒れている。 「――へっへっ……!」  ガイストは、「笑う」。  よく見えるようになった視界カメラで、無防備な緑色の人を見下げて――彼は「笑った」。 「ほんと、人間ってのは――――― 楽しませてくれるぜぇぇぇっ!!!!」  ガイストは牙を剥き出して吠え猛ると、お返しとばかりに再び青白い輝きを放った。 「うわっ!?」  狼狽えるアーティ。急いで立ち上がろうとする彼に向けて、ガイストの左腕が振り下ろされる。  間一髪。アスファルトを転がったアーティは皮一枚、いやスーツ一枚で攻撃を避わした。代わりに、彼が元いた位置のアスファルトが裂けてしまっている。  裂けたアスファルトから水が噴き出す。どうやらガイストのカギ爪は、地中に埋まる水道管まで切断したらしい。  アーティのスーツはまるでファスナーを下ろしたかのように、背中の部分が切れてしまった――のだが。緑色のピッチリスーツは早速に再生を始めていた。これは自慢の“自動再生機能”によるものである。  しかし、いくらスーツが再生するとはいえ、身体ごと切られてしまっては意味が無い。アスファルトを深くえぐった切れ味から察するに、カギ爪とそこから生じる衝撃波が直撃すればただでは済まないだろう。 「逃げるなら今のうちだ、切り裂いちまうゼ!!?」  青白い輝きが駅前交差点付近を照らしている。  こうしている間にも周囲1kmの範囲は大騒ぎ。逃げ惑う人々の悲鳴に、サイレンの音が鳴り止まない――。 「こいつめっ!」  アーティは立ち上がり、懸命に殴りかかった。彼の拳は確かに狼の頭部を直撃したのだが――。 「どうした、握手にしては力み過ぎているな」  ガイストは牙を晒して平然と笑い、右の腕でアーティをなぎ払ってみせる。  緑色のタイツスーツに身を包んだアーティが宙を舞い、それは空中で身を翻した。そして腰元から“光線銃”を取り出し、銃口を狼頭の機人へと向ける……。 「こんちくしょう!!」  < ズビッ! >――などという、抜けた音。  間抜けな音と共に放たれた光の線は、青白い輝きを放つガイストの胴体に命中した。 「ガ??」  光線銃の輝きはガイストの体表で破裂。強い衝撃でガイストの身体が後方へと弾き飛ばされる。 「ガオオッ!!?」  重厚な鋼鉄の塊がアスファルトを削る。特殊な光線から発せられたエネルギーの衝撃は強く、1t近いガイストの身体が勢い良く地表を滑っていく。 「舐めた真似を!!」  吹き飛ばされたものの。鋼鉄のボディにはさほどダメージが無いらしい。ガイストは余裕の表情で体勢を整えつつある。  彼の吹き飛ぶ進路上――。  そこに蹲っていた青い髪の青年は迫り来る鉄塊に驚いた。彼は反射的に右腕を振り上げる。咳き込みながらも振り上げたその腕は「手刀」であり、それは銀の色に染まっていた……。 「うわっ!?」 「ガッ――ウ!???」  青龍もガイストも、どちらとも状況を把握できていない。しかし、そこには現実として……鋼鉄の胴体を貫いている侍の右腕があった。 「ば、バカな――このっ、俺が―――!!?」  胴体、それも胸部。鋼鉄の子の胸部には“核”が存在する。それは『スフィア』と呼ばれる存在で、人に例えれば心臓に等しい。  ガイストのスフィアは傷つけられた。銀色の腕は青白い輝きを放つスフィアを掠めたのである。 「ご、ごめん……」  不意打ちの形になったことに青龍も驚いている。引き抜いた腕を呆然と眺めた。 「て、てめぇら人間ごときが――この、俺にッ――!」  強がってはいるものの……。輝きを失ったガイストは鋼鉄の膝を着き、胸部から流れ出す液体を懸命に抑えている。  限界だ―――。 ガイストは怒りながらも、冷静であった。 「――お前ら、何者だ?」  青龍とアーティを交互に睨むガイスト。 「“テクノロジーマンだっ!!”」  元気よく答えたのはアーティ。聞き覚えのない肩書きに、青龍は「えっ?」と、呆けた。 「―――ふんっ、今日のところは引き上げてやる。しかし……覚えていろよ、テクノロジーマン! メタロンの力はこんなものじゃぁないからなッッッ!!!」 「うん、解かったー!」  アーティのハツラツとした返事を聞いて、ガイストは不敵に「笑った」。 「……え、あ、ちょっ……」  青龍が申し訳なさと「メタロンって何?」という思いから狼狽している。  その様子を尻目に―― << ワオォーーーンッ!!! >>  ――と、狼の遠吠えが鳴り響く。  ガイストは鋼鉄の足からジェット気流を放射し、凄まじい勢いで上空へと飛び去った。  行き先は、彼の父の元……。 「なんだったんだ……あれは?」  青龍は咳を堪えながら上空を見上げている。 「龍ちゃん。返すってあいつ、何を借りたん??」  アーティはノリで返した言葉の意味を今更になって青龍に聞いた。  事故車両の残された交差点。人々の悲鳴を裂いて、警察車両のサイレンが近づいてくる。 「……病院に戻らねば」  思い出したように、青龍が歩き始める。ぶり返した熱によって、その足取りは重い。  フラフラと歩く青い髪の青年を、ピッチリタイツの緑色のレンジャーが追っていく。  二人はその場を後にした。 ACT-4  長野県某所。交通網から忘れ去られたかのように辺鄙な所。  コンビニエンスストアまで歩いて20分を要する地点に、うっそうとした雑木林がある。この林を隠れ蓑にしている“洋風の屋敷”。蔦が壁を伝い、煉瓦にコケがむしている。  「誰も住んでなどいない」……屋敷を訪れる者は存在しないが、万が一訪ねたとすれば誰もがそんな感想を抱くだろう。  まぁ、それも――玄関前を掃除する【不思議なロボット】を見ればどうでもよくなるだろうが・・・。  雑木林の上空にジェット気流の音が鳴り渡る。 【おや?】  不思議なロボットは空を見上げた。  見上げた先にある影はぐんぐん近づいて……「あっ」と言う間に雑木林へと着地を決める。  着地したのは鋼鉄の塊で、それは狼の頭部を持つ『ロボット』。 【お帰りなさい、“ガイスト”さん!】  不思議なロボットはホウキを降って出迎える。キャタピラの脚がキュラキュラと、雑木林の腐葉土を踏み鳴らした。  狼の頭部を持つ『ガイスト』に近づいた不思議なロボットは、彼の胸元を確認して「あっ」と声を上げた。  そして、そう言う間にもガイストは力を尽くしたかのように傾き、腐葉土の上に倒れ込む。 【ガ、ガイストさんっ!? 大変だ……大変だぁ! 博士、博士ぇぇ~!!】  不思議なロボットはホウキを放り投げた。そして大慌てにキャタピラを駆動させると、砂煙を巻き上げて洋館へと駆け込んだ。  ――――しばらくして―――― << な、なんじゃとぉぉぉっ!!? >>  洋館の中から叫び声が轟いた。  叫び声の後に洋館を飛び出してきたのは白衣をまとった【老人】で、“彼”は腐葉土の上に伏しているガイストに駆け寄ると、損傷具合を確かめた。 「ひ、酷いぃぃっ!? 誰だぁぁぁ!! 誰にやられたァァァァァ!!!???」 【博士、落ち着いて! 深呼吸!!】  取り乱している老人をなだめる不思議なロボット。 「て、……く……」  ガイストは懸命に答えようとしているのだが、発声機能にも障害が発生したか。声はかすれてしまっている。 「え、なに?? 聞こえんんん!!?」  顔が歪むほどに鋼鉄の身体へと耳を押し当てる老人。 「て、テクノロ――ジー・・・マン・・・」 「――てくのろじーまん? なにソレ??」 「ガフっ―――!」 【ガイストさん!!】 「が、ガイスト!」  呼びかけるが、返事は無い。ガイストは気を失ったようだ。 「おのれ……おのれ……ッ、  許ッさァァァァァァァんんんんんん!!!!!! 」  両手に拳を作り、天へと掲げて激昂する技術者風の老人。  彼は早速にガイストの修理に取り掛かると同時。“テクノロジーマン”なる存在の情報を収集することを決意した。  彼の持つ『鋼鉄の子』は六体。  その中でも、“トカゲ頭”の子は人間社会に紛れるのが得意である―――。 『鋭利なる咆哮、メタロガイスト!』 ――END――
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