この惑星の未来から/おまけ+α

『この惑星の未来から―― +α!』  ~ 補足や蛇足やお・ま・け ~  この度は「この惑星の未来から――」を読んでいただき、誠にありがとうございます。  一応、これは上記物語のおまけとなりますので、まだ「未読だ」という方は・・・Go Back!  ……それでは―――どぞ! ↓ @内容物  1、物語中の補足(主項目、補填)  2、物語中の蛇足(設定など)  3、物語外の蛇足(お・ま・け) ++++++++++++++++++++ 1 物語中の補足 1)結局、カトルは何をしたのか。  作中、カトルという青年は黄金の竜になったり時をすっ飛ばしたりしていましたが……その昔に何をして、どうして彼女を失ったのか。そういった事が具体的にありません。よって、ここでそれを補足したいと思います。  ――カトルは一人の女性、「シュカ」を妻として、それはもう溺愛しました。  カトルは体内に永劫の循環を持っており(*古の魔術)、これによって半永久の命を持ちます。彼自身、その仕組みをイマイチ理解していないのですが、どうしたことか。彼は人々を支配する内に「俺ってスゲー!」と自惚れてしまいました。  加えて「妻を失いたくない」という思いから、独自に循環を解釈して、妻に永遠を与えようとしました。……「永遠」と言うとなんかカッコイイですが、結局のところ、生命はエネルギーの結晶みたいなものなので、要は『永久機関ってどう作るの?』という疑問の解決がこれに近いものとなります。  一つは先ほどあった「循環」。広義にすれば「繰り返し」です。振り子などが近いでしょう。実際には空気抵抗や摩擦がありますが、より物質的ではなくなれば、可能であるとされます(*後述にある物の硬さ)。  もう一つは他者を利用する「補給」法。本編で解りやすいのは「ティヴィ」。彼が青龍の血を啜って体積を増やしたりしてしたが、あれみたいに、他から取り込むことで個人を継続する手段です。  カトルが行ったのは「補給」。ちらっとですが、本編に「血を捧げて~」「犠牲が~」とあるのはこれです。  ――つまり、カトルは他者、民の命を奪い、妻である“女王シュカ”を延命していたわけです。  作中にある「神官の末裔」は、これも作中にある「世界に文句を~焼かれてしまいました」という部分の被害者の子孫となります。  神官の先祖であるその人は、「なんで女王だけ長生きさせるん? しかも俺たち定期的に生贄にされるし。贔屓すんなよ……お神さん」――と文句を言ったことによって、カトルに殺されました。これによってその家族は「悲しみ」と「怒り」を抱くことになります。同時に、女王すら憎みました。  しかし「補給」は根本的に無理があるもので。別の話で出ますが、「細胞と精神が村八分になる」といった問題などが発生してしまい、やがて女王シュカの命は限界を迎えます。  完璧だと思っていた永遠が失敗したことを知り、それでも事実を認めず逃避したカトルは発狂し、皮肉にも……死を凌駕する絶望によって壊れた精神が、彼の内にある才能を引き上げ、そして新たな魔法、『永劫空間』を生み出しました。  そうは言ってもたかだか偶然の産物。そもそも魔法なんてものはよっぽどでない限り、扱いきれません。  融通の利かない停止した時間。それは作中にあるように、「終わりを無くす」もので、民の全ては生きがいの無い、無意味な日々を強いられます。  「これはおかしい」と思った民が神殿を強襲。そこにあった神は見るも無残に弱々しい表情で、「妻と永遠を生きてよ……」などと言ってきました。  たまったものではありません。早い話が、「永遠にゾンビとしてその辺うろうろしてて」と願われたようなもので、これを恐れた人々は「地上への逃亡」を決意します。  この、「地上への逃亡」を率いたのはかつて「悲しみ」と「怒り」を抱いた一族の末裔で、ここぞとばかりに神を罵倒して民を先導しました。  彼らが後の「神官の末裔」であり、「神官」とは地上に昇った後の彼らを指します。  ――と、大まかにこのような感じです。総括しますと、「結局、カトル最悪じゃね?」とも思えますし、「愛しちゃったんだからしょうがないべ」とも思えます。 2)縦穴洞窟ってなんだったのか  あれはカトルの一撃で作られた入口です。ちなみに、「台座が~」などとありますが、過去にはそこに“螺旋の階段”がありました。つまり、地下世界と地上を繋ぐ巨大な階段があったということです。もっとも、それはカトルの「もう戻ってくんなよ」という思いによって壊されましたが。  さらに余談として。作中、やたらと「螺旋、螺旋」とありますが、それはカトルや師匠達が自分達の故郷をリスペクトしたからです(*参考:潮風の国)。 3)白い影はシュカなのか  「シュカ」のようでシュカではありません。  シュカは実際、死にました。しかし、彼女とカトルの子孫にその血は流れており、その血に宿った「記憶」は彼女の“伝えなければ”の思いを乗せて巡っておりました。  ――作中、カトルがシュカの踊りを褒める場面がありますが、あれはマジです。本気でシュカの踊りの才能は秀でていました。  カトルがシュカを思い出すには、彼女に匹敵する踊りの才能が必要だったのです。ところが、これがあだとなり、中々彼女の踊りを再現できる才能を持つチチェルの女が生まれません。  そしてようやく、長い年月を経て、シュカを超える才を持つ少女、『サナ』がこの世に生まれました。よって、サナの母が言っていたことはほぼ全て的中しています。結果としてサナの母は重要な役割を果たしたと言ってよいでしょう。  ちなみに、本編前半でちょろちょと「金星」を注目しておりますが。これは「飛び立った師匠達が向かったのが金星」だからです。サナの踊りのシーンで「左手を太陽に~」という部分は、簡略してあのようになりましたが、本用は太陽を指しているのではなく、「金星」を指します。 ++++++++++++++++++++ 2 物語中の蛇足 1) ロキの秘術について  三つあります。 ・一つ目は「三眼」――人の目を介した千里眼です。これに付随して、テレパシー能力もあります。 ・二つ目は「瞬間移動」――三眼の許可を得た人物の近く(周囲3m程)に瞬間移動できます。 ・三つ目は「増殖」――世界のどこかに「ロキ・ルーム」と呼ばれる施設があり、ここで量産されています。また、全てのロキは意識と記憶を共有しますが、関連的距離によって個々の認識程度は異なります。  ――上記三つを本編で駆使しております。よく見ると「あれ、青龍と合流したはずなのにまだ工業プラントにいる・・・」とか、「愛犬の名前がおぼろになっとるw」とか、「目を付けたとかなんのこっちゃ」とか、色々と散りばめられています。 2)レイアとはなんなのか  仙人です。より言えば、真人のなりかけです。  仙人は大国、『大華』に存在し、下界に関与したり無視したりと、奔放にしています。  レイアは幼い頃、俳優の父と共に大華へと渡り、そこで偶然出会った仙人に見出されて弟子となりました。まだ宝貝(パオペェ)も与えられてはいないものの、その身体能力は既に、仙人として合格ラインにあります。ただし、まだ精神的な工夫が足りていないので、一人前となるべく、母国に帰って魔術を学んだりと、試行錯誤をしている最中です。  エピローグのセリフなどは、この辺りを再認識してのことでしょう。  また余談となりますが。「アマモリの剣(*ドナテロ登場話)」冒頭にある“新奇”という名前は、宝貝作りを得意とする仙人の異名です。よって、そこに登場した「堂天牧」は宝貝の一種ということになります。  新奇はドジっ子(おっさん)なので落としちゃいました。 ++++++++++++++++++++ 3 物語外の蛇足  本当に蛇足です。しかも無駄に長いのでほうっておいてかまいません。 (*とあるものは注釈です) 1)『スマートコネクト』とはなんなのか  ネフィス・ロイ(*「シンパシー号」等参照)の持つ中の一社が新たに行おうとしている新機軸の万事仲介屋です。物以外にも仕事の斡旋や出会いなど、とにかくなんでも商品としてやりとりさせよう、という目的があります。ある意味2chのような仕組みで、ログインの必要はあるものの、比較的簡単に、それこそAmazon感覚で「~殺してよ」「~堕落させて」と依頼を行えます。最も、それでは単なる雑談掲示板となり、ほとんど役を成さないでしょう。本編でもありましたが、あんな感じのイタズラや信憑性の無い、子供の交流場と化してしまいます。  あれが目指す本当の所は、「仮想空間を利用した影響構想」。  『スマートコネクト』とありますが、これは全体の一部で、これも本編にあった「ナイル社(*こっちで言うAmazon)」も上記構想の一部となります。Facebook紛いやTwitter紛い等もあの世界にありますが、これらが帰結するところは「人間関係の電子化」であり、それは即ちできる限りの事象を仮想空間優先へと持ち込むことになります。  ロイの『スマートコネクト』など、多数の有力企業や財閥、家、個人がこれに参画しており、「仮想空間を利用した影響構想」を構築している最中です。  『スマートコネクト』の役割は「雑談」の把握。それこそ多少の秩序や嘘偽りがあった方が都合の良い、「市民思想と傾向の操作を成すための把握」となります。一見して雑談掲示板は、その雑っぷりから権力による干渉を受けにくいと思われますが、会話においても何気ない時にこそ人の本性は出るのであり、本心や、その時代・その国に生きる人間がどのような傾向の思考を行うかを把握する、重要な指標ともなります。  『スマートコネクト』とは言わば、解りやすい雑談場であり、嘘くさいからこそ、本来隠れ家ちな人々が寄ってくることを想定されています。よって、実際にサイトが機能する・しないは二の次で、試運転及び他の交流サイト運営のヒント取得さえできれば、問題ありません。ついでに、ああいった類のものを人々がどこまで踏み込み、どこまで使いこなすかを確かめる計測器としての役目も持ちます。  総括しますと、『スマートコネクトとは。大きな計画の中にある釣り餌のようなもの』――となります。 2)COINS-WORLDにおける魔術  今回、「ゾノアンの魔術師」などという集団が登場しました。ついでってことで、ここで設定のお話をしようと思います。*以下は【四聖獣】のみではなく、【ヴェルガー・ストーム】などにも共通です。また、当然ながら、あくまで「この世界ではね!」という話です。  以下、『ザ・魔道(パキアンティティス著)』より抜粋(*文中にある「現星」とはこちらの地球を指します)。 <魔術原理解説>  魔術は「不可思議な術」ではない。それを見て人が抱く驚嘆や興味の感想は最新の電子機器を見て抱く感想にほぼ等しい。  魔術を一言で解説すると「現象の過程を置き換える」である。ある事象が発生する場合、それには必ず理由がある。 例:ガラスのコップを思い切りアスファルトに叩きつければ割れる。この時「ガラス」は「思い切りアスファルトに叩きつけられた」から割れた。叩きつけるだけでなく、硬いモノに叩きつけられたからこそ割れたのである。  魔術は事象を構築する術である。例えば上の例のうち「アスファルトに叩きつける」という部分を「特定の印が書かれた紙を破く」に変更する。すると「思い切り特定の印が書かれた紙を破いたのでガラスが割れた」という式ができあがる。こういった「過程の変換」が魔術である。  さて、その「変換」はどのようにして行うのか。  この世の物質を分割していくとやがて原子、電子、その先へと続いていく。錬金術はこの物質の構成物質を分解して組み立てる事で、物質を別の物質にしたり形を変化させる。  重要な事は、この世の事象(過程も言ってみれば事象)にも構成素材が存在するということである。突き詰めるとちょうどアルファベットのA~Zの個数が存在し、それぞれ第一~第三、多いものは第6まで種類がある。これら事象の構成素材を“素原理(キャラクター)”と呼ぶ。 (*「素原理の個数」はあくまで、『物語を円滑に進行するための定義』となります。実際の法則をディフォルメしたものだと思ってください。  本来はそんな好都合なわけなく、それこそ“限りなく存在”します。ただ、それだと物語中の節々に、無駄な長文が爆増するのでこのような簡略化をしております。名称だけは実際と同じです)  「素原理」を知る事で理屈上はこの世の全て、その存在している理由までを「素原理」の図で表す事ができる(素原理を並べた図¬¬=「原理集合体(センテンス)」)。しかし、物質の構造と違って異常に長い一列(文)のような構造になるので、一つの事象の果ては円周率と同じ位長い。魔術ではこれをできる限り解読し、そしてあくまで結果を崩さぬようにその状況で都合の良い変換(素原理変換)を行う(あくまで入れ替える。素原理変換と素原理生成を行う……実はそれこそ「魔法」である)。 (*「魔法」の定義はここで深く触れませんが、これだけでなく「もの凄い複雑」「もの凄い突拍子も無い」ものも魔法とか言われます。正直、言ったもの勝ちな感があります)  「魔力」を用いて魔術を行うと表されるが、魔力とは「物事の決まった流れに介入する」力なので、「集中力」と非常に似通っている。現星で魔術を見られない(無い事にされている)理由はこの「集中力」をどうやって素原理にぶつけるかわかっていないからである。  魔術の初歩は「集中力と魔力の違いを理解する(魔力は集中力が主な原料)」。  魔術の基本は「魔力で素原理に触れる」。  魔術を熟練するという事は「読解速度が速く、置き換え速度が速くなること」。つまり、計算力が良くなるということ。 (*いきなり表記されていますが・・・“素原理は触れることができます”。意識、集中力、魔力で配列変換を行うのはそれらがより非物質的で素原理に近い存在だからであり、理屈的に人は「火が燃える」という現象自体を殴れるとされます。  もっと言うと上にある「ガラスのコップ」の事象も殴れます。そこまでくると、本編にいたカトルとか辰羅神では不可能です。時間止めるとかそう言う次元ではありません。よって、「ガラスのコップが割れる」という現象を殴るとどうなるかなんて不明となっております。  ただし、「ガラスのコップが割る」を「ガラスのコップが犬になる」などに変換することは、「魔術師あるある話」です。変換することは物的な介入をすることではありません)  実際の魔術訓練の様子を、一例として挙げる。以下は「発火」の現象を例とした。 1、まず、物を燃やす。 2、そのプロセスを一部始終観察する。 3、何度も繰り返し、その場合の「原理集合体」を解読する。 4、ある程度理解できたらそれを素原理集合体として書き出す。  例えばここでは「ABCDE」だったとする。「DE」が発火している状態として、式の答えをここにもっていきたい。 5、「ABC=DE」という式。これを「杖を振る(FG)」で、「FG=DE」にしたい。  上の「したい」とは、つまり「FG」を「ABC」と同意義として変更するという事。  つまり「FGをした」という事実を「ABC」に素原理変換するということである。 6、まず、FGを“分解変換”する(素原理もまた、素原理の集合体)。  たとえばこの時「F・G=AGT・UBE」だったとする。  すると「AGT・UBE→ABC」としたい。  そこで「GT・UE」を排除し、いったん「AB」だけを見繕う。  この時排除されたGT・UEは不燃焼素原理となり、処理する必要がある。この処理ができない場合、それはつまり「F・G」を変換できないということになる。  具体的な処理の仕方は、「エネルギー化」もしくは「素原理融合による新事実製造」の2つ。  「エネルギー化」は、即ち「光」への変換である。「光粒子」は物質でありながら物質硬度が非常に低く、かつ「光粒子として存在する(特殊Y=第2Y=Y2)」という素原理(ここでは原理集合体)はあらゆる素原理からの変換が可能なのでこれにするのが手っ取り早い。魔術が光りを伴い、派手なことがあるのはこのためである。逆に、Y2を他の祖原理に変換することは不可能。よって、派手であるほど応用が利かない、もしくは無理をしていると解かる。  「素原理融合による~」は、あまった素原理を用いてそれを組み合わせて別の原理にする高等処理技術である。これの長所は魔力消費が低く、連鎖的に一つの現象を有効利用できること(分解変換は無限に連鎖可能)。しかし、同時に置き換えと変換をこなすのは非常に厄介。高等魔術はこれもプロセスの一つとしていることが多い。 7、ここまで来て晴れて「FG=ABC」が成り立つ。それはつまり「FG=DE」であることだ。  実際には素原理がたった3つなどということはありえない。どんなに単純な事象でも、気が遠くなるほどの素原理で構成されている。  魔術の研究は「分解変換」「事象の原理集合体」を解読する事にある。現在、分解変換についてはほぼ解読済みである。しかしそれでも不明素原理の発見が相次いでおり、まだまだ研究は続く。  式を探るのはたいへんだが、一度見つけてしまえば後はそれをスムーズに行うだけ。また、魔術を人に教える事ができるのも「図」として表せる事が大きい。 (*式を探ることに「発想力」、スムーズに変換することに「計算力」が必要だ・・・と、魔術師の最初期に習います。別例もありますが、大体そのように捉えておくことで割かし簡単に魔術の世界へと脚を踏み入れられるようになるでしょう)  ここまで見てきたような、事象を中心とした魔術を“錬象術”。より限定して、物質を扱う魔術を“錬金術”と呼ぶ。  必要以上に細分化して考える必要は無い。物質の再構築で、素原理まで戻る必要は概ね無いので、錬金術が生まれた―――  ――抜粋ここまで。  だいたいここにあるような感じとなっております。とは言え、こんなものはあくまで「裏側ではそういうことをしている」だけであり、例えば本編で言う「プロヴォア」の描写などは微塵もこんなことに触れません。というか、まず、本編には出てきません。  これまでの本編で言えば「メーデン皇帝領」の+αにて少し触れた程度でしょうか。確か、「アーティは発想力にすぐれるが~うんぬん」という行があったはず。  また、魔術の他にも仙術や呪術、想術といったもの等がありますが、それぞれ似ていて微妙に違ったり真逆だったりするので、割愛しましょう。 +++++++++++++++++++++++  ……以上で、おまけの方、終了となります。  ここまで読んで頂いたのならば、もう、これ以上の感激はありません。  欲を言うならば、他のアマゾン滝沼作品にも触れてみてください。  ・・・・・それでは、また会えることを願って――――― サラバ!  From:四聖獣 Title:この惑星の未来から――
前話<<